起業について

少し前、起業が盛んに話題になっていた。株式会社の資本金が1円からできる特例で会社を設立した人が多かったようである。今は会社法が改正され、合同会社の新たな会社制度が規定され、株式会社の資本金の制限もなくなったようである。
起業は言葉の通り新たな仕事を作り上げることであるが、単に会社を作ることと勘違いされているのではないかと思われる。個人であっても新たな仕事を行えば起業であり、会社を設立しても何もしなければ起業ではない。会社名と取締役の肩書きを付けた所で、するべきことが何もなければそれは何も意味はないことである。
起業の目的に社会的な貢献を目的とする「社会起業」の新たな取り組みがある。会社法での法人は利益を目的として設立された法人であるが、この利益には広い意味が含まれる。本当に儲けるための利益から、法人を維持していくための必要最小限の利益まであり、「社会起業」はこの後者に位置づけされる。NPOがこの社会起業的な所があるが、株式会社であっても社会貢献を目的としていれば同じことである。それよりかNPOが本来の目的を逸脱して隠れ蓑的に利用されている面があり、会社として設立して社会貢献を行う方がごまかしがなく良いと考えている。
個人と法人には法的な責任が明確に区分される。しかし、日本ではこれは全く機能していない。日本では大企業でない限り金融機関から融資を受ける際、個人保証を求められる。この結果は会社が行き詰まれば個人に負債がかかってくることになる。法で会社が有限責任の制度を設けているのは、この個人に責任が及ばないための制度であるが、日本では事実上個人が借金をするのと何も変わらない。ベンチャーとか色々言っているが、根本の金融制度が変わらない限り、融資の可否を判断する能力が金融機関や投資会社にない限り、本当のベンチャー企業は生まれてこない。少し前、IT企業がブームになればどんないかがわしい企業であってもITを看板にしていれば融資が受けられ投資がされていた。大きな代償を払ったはずであるのに今もそれらの改善はない。